ホリエモンのベストセラー著書「多動力」を批判してみる【奴隷社会】

多動力

ホリエモンこと堀江貴文さんのベストセラー著作「多動力」を読んでみました。

普段、このたぐいの自己啓発っぽい本はあまり読まないのですが暇だったので……

ホリエモンといえば過激な言動や、著書名どおりの多忙で活動的なイメージがありますよね。

この本を読めばそんな彼の人生観、仕事や遊びに対しての価値観がよくわかります。案の定、こんな生き方をしてみたい! っていう人がたくさん出てきていますね。

さすがにいろんなプロジェクトを精力的にこなし、超忙しい毎日を送っているだけあります。

実際いうことはいちいち説得力があるし、まさに成功者の極意って感じ。多くの人が感化されるのもわかります。

しかし、僕も含めて、この本の中で理想とする生き方をしていない(できない)人も多いはず!

多様な価値観があふれる今日このごろです。ここではあえてこの本の内容を否定的に紹介してみたいと思います。

なお、本の解釈と感想には僕の個人的な主観がたくさん入っていることはあらかじめご了承ください。

あ、一応言っておきますが僕はホリエモンの生き方や考え方は否定していません。それどころかその行動力はとても尊敬しています。

「多動力」は人生を充実させるための道標!?

否定的に、などといっておきながら、まずは少し褒めてみます。

この本の内容を実践できれば間違いなく幸せになれるでしょう。

本には、徹底的に自分のやりたいことだけをやって興味のあることだけに時間を使うように書かれています。そうすれば成功するし幸せな人生になると。そりゃあ好きなことだけやって生きていけたらそうでしょう。

ある意味当たり前なことなのですが、多くの人は常識や先入観やしがらみなどにとらわれて、まったく自分のために時間を使えていないのです。

そこで、本では好きなことだけに時間を使うためのコツや考え方のヒントを教えてくれます。たとえば、メールでなく電話で連絡をとってくる人とは仕事をするな、とか、人が作り上げた成果物をうまく自分のものにして使え、とか。

なるほど! と思うことも多く、人生を充実させるための指南書として、読む価値のある優秀な本であることは間違いないでしょう。

「多動力」は利己主義のすすめ

共感したり気づかされたりする部分も多いのですが、残念ながら基礎となる主張(コンセプト)にささやかな違和感を覚えてしまいました。

この本のコンセプトは、とことん自分のためだけに時間を使え、ということです。

たとえば、経費精算を自分でやるサラリーマンは出世しない、だから経費精算などやらずにもっとワクワクする仕事をしろというのです。あるいは掃除も同じです。一貫して、くだらないことに時間を費やすなといっています。

たしかに多くの人にとって、経費精算や掃除などはできればやりたくない仕事でしょう。

いっぽうで本では、他人の時間を奪う人も徹底的に否定しています。

自分のためだけに時間を使えということと、他人の時間を奪うなということは一見整合性がとれているように見えます。

しかし経費精算も掃除も、間違いなく世の中には必要な仕事です。ほかにも、誰もがやりたがらないけどなくてはならない仕事なんて世の中にいっぱいあります。

やりたくない仕事を自分でやらないということは、必然的にほかの誰かにやってもらうことになるわけです。やりたくない仕事は人に押し付けろってことでもあります。もちろんこんなあからさまには書いてませんけど。

つまり「多動力」は、他人に自分の時間を与えるべきではないが、自分のために他人の時間を奪えという超自分勝手な主張をしているのですね。

じゃあ、時間を奪われるのは誰かというと、この本に書かれている目標とすべき人物像とは逆の人です。他人のために時間を使うことに無頓着な人ですね。単純に気の弱い人も含まれるでしょう。あとは自分よりも他人の利益を優先する人や損得を考えずに相手の幸せのために行動する人なども。それから生活のために仕事を選ぶことができない人もですね。

でも、すべての人は多かれ少なかれ他人の時間を奪って成長します。そして逆に他人のために自分の時間を与えています。

人に時間を奪われたり与えられたりしながら世の中はうまく動いていると僕は思うんです。

逆にみんなが利己主義的になり、他人の時間を奪うことには無頓着だけど奪われることには神経質になったらどうなるのか、想像してみてください。世の中めちゃくちゃになりますよね? 自分が得をするため、人を貶めるための策謀がはびこる世界になってしまうと思います。

「多動力」の行き着く先は奴隷社会

ちょっと大げさにいいますが、結局「多動力」を原理主義的に解釈・運用すると、行き着く先は奴隷社会になると思うんですよね。

好きなことだけやりたい放題の貴族(=勝ち組)と、貴族の幸せのために人生を捧げる奴隷(=負け組)

いうまでもなく、現代日本において奴隷制度は否定されています。「多動力」が奴隷制度の導入を目的としているはずもありません。

しかし、そもそも奴隷制度は「好きなことだけをして自分だけが幸せになれればよい」という、人の利己主義的な考えが根っこにあります。

どうでしょうか。少し「多動力」での主張とオーバーラップしませんか?

「多動力」には生き方の指針として参考にすべきところがたくさんあります。でも、その主張の中にほんの少し危険な匂いを嗅ぎ取ってしまうのは僕の心が狭いからなのでしょうか?

いろいろ考えされられるから「多動力」を読んでみて!

さて、主題とずれた部分もありますが、結局本をとおしていろいろと考えることができました。成功者のマインドセットを理解する一助にもなりましたし。

全体としてとても有意義な読書体験でしたよ!

てことで、まだ読んでない人はぜひ読んでみてね!

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